志門医学舎で、AVENUE Education共催・RTM特別企画を開催しました!

今回のRTMでは生徒たちが、顧問医師である金城先生・朝倉先生とともに「新型コロナウイルスに学ぶ、これからの医師に必要な情報発信」を考えていきました。

志門医学舎のRTM
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ZOOMを活用したオンラインイベントとしては、初の試みとなります。

生徒たちはもちろん、保護者様からの大変ご好評をいただくRTMですが、この記事では今回開催されたRTM特別企画の様子をお伝えしていきます。

ぜひ最後までご覧ください!

RTM「これからの医師に必要な情報発信を考える」企画内容をご紹介

今回のRTM企画は、5月23日・30日と2回にわたって開催されました。

今回の着眼点は「新型コロナウイルスを医療従事者として捉え、正しい医療情報を発信する」です。

 

  • 第1回:朝倉先生のご講演

第1回は朝倉先生に「新型コロナウイルス感染症と医療情報」についてご講演いただきました。

>朝倉先生のご講演内容はこちら

 

  • 第2回:生徒によるプレゼンテーション

第2回では朝倉先生のご講演を受け、参加した生徒たちにプレゼンテーションを行ってもらいました。

プレゼンテーション課題
「あなたはクリニックの院長です。緊急事態宣言発出後、患者たちからCOVID-19に対する不安の声を多く聞くようになっています。みなさんに正しい情報をお伝えし、安心してもらうにはどのような方法を取れば良いでしょうか。自身の情報収集、患者への伝達方法、患者におすすめの情報収集方法、様々な観点から考察してください。」

また第2回にはスペシャルゲストとして、株式会社メディカルノート代表取締役の井上祥先生にもご参加いただきました。

井上先生のご紹介とメッセージはこちらから

生徒たちのプレゼンテーションは一人ひとり着眼点が異なり、素晴らしいプレゼンテーションでした。

 

  • 生徒たちの様子

今回のRTMは初めてのオンラインイベントです。

生徒たちはオンライン授業に慣れてきているようでしたが、私たちとしては生徒たちの様子が気になるところでした。

実際に開催してみて、どちらの回でもオフラインイベントと同様に、生徒たちが実際に現場で医師として働かれている先生方の視点や言葉を、熱心にメモに取っている様子は非常に印象的でした。

ここからはイベント内容を詳しくご紹介します!

 

顧問医師・朝倉先生のご講演「新型コロナウイルス感染症と医療情報」

全世界を騒がせている新型コロナウイルス。
このウイルスによって人々は強い不安感に苛まれています。

「コロナ患者がいるから病院に行きたくない」
「コロナが怖いから一歩も外に出ていない」
「心配だから検査してほしい」

なぜここまで強い不安感に襲われているのでしょうか?

患者自身がご高齢だからでしょうか?
それとも、新しい病気で対処法がよくわからないからでしょうか?

この原因の一つに「不確かな情報発信」があります。

 

そもそも新型コロナウイルスとは?

そもそも新型コロナウイルスとは何でしょうか?

新型コロナウイルスはコロナウイルスの一つです。
コロナウイルスには、風邪の原因となるウイルスや「SARS」の原因になったウイルスが含まれます。

現在、世界的大流行に至ってしまっています。

この大流行には3つの理由があります。

  1. 新型なので多くの人が免疫を持っていない
  2. 無症状や軽症状の人がウイルスを保持したまま移してしまいやすい
  3. 治療法や診断法が確立されていない

そして今や世界は簡単に行き来できるようになったこともあり、世界中で蔓延しているのです。

日本の対策は?

新型コロナウイルスに対して、日本も対策を講じています。

主な対策は以下のとおりです。

  1. 外出自粛要請で感染機会を減少させる
  2. 医療資源を確保する
  3. 検査体制を拡充する
  4. 治療法を確立する
  5. 新しい生活様式を確立する

緊急事態宣言の発出に始まり、高校の休校や休業要請、リモートワークの推進など、私たちの日常生活にも大きな影響を与えています。

 

不確かな情報発信が不安の種になっている

各国が対策を行っているにもかかわらず、なかなか人々の不安感が拭えないのはなぜでしょうか?

それは、不確かな情報発信のスピードが早いこともその一因です。

 

現在はインターネット環境が普及し、そしてインターネットで情報収拾をしている人が増えています。

そして何より、インターネットの情報は誰でも発信できてしまいます

 

多くの人が悪意を持って発信しているのではなく、「自分は正しい」と思っているからこそ、その情報は拡散されます。

そして友達へ、友達の友達へと拡散されていき、不確かな情報がまるで「正しい情報」であるかのように信じられてしまうのです。

そこで大切になるのが、医師として正しい情報を普及させることです。

 

生徒によるプレゼン「これからの医師に求められる情報発信」

第1回RTMでの朝倉先生のご講演の最後に、参加した生徒たちへ課題が課されました。

プレゼンテーション課題
「あなたはクリニックの院長です。緊急事態宣言発出後、患者たちからCOVID-19に対する不安の声を多く聞くようになっています。みなさんに正しい情報をお伝えし、安心してもらうにはどのような方法を取れば良いでしょうか。自身の情報収集、患者への伝達方法、患者におすすめの情報収集方法、様々な観点から考察してください。」

1週間後の第2回RTMで発表です。

第2回では株式会社メディカルノート代表取締役の井上祥先生もご参加くださり、生徒たち一人ひとりへフィードバックしてくださいました。

井上先生のご紹介

第2回RTMは前回の振り返りとともに、朝倉先生がご自身のクリニックで実践されている対策を取り上げながら、

  • 患者様がどのような心理状態なのか
  • そのような患者様に対して医師はどのように対応するべきなのか

をお話しくださいました。

 

生徒によるプレゼンテーション

プレゼンテーションでは6名の生徒さんに発表してもらいました。

生徒一人ひとり着眼点が異なり、非常に興味深い発表になっていました。

今回は、2名のプレゼンテーションをご紹介します。

Aさんの発表

私はまず、どのような情報収集方法があるのか?というところから考えました。

私たちの身の回りにある情報収集方法は

  • 新聞
  • 新聞社によるニュースサイト
  • YahooニュースやGoogleニュースなどのポータルサイト
  • LINEニュースなどのソーシャルメディア
  • グノシーなどのキュレーションサービス
  • テレビ
  • ラジオ
  • 雑誌・書籍・論文

など様々です。

 

  • 医師としての情報収集方法

このうち、まず医師として情報収集する際には、

  • 大学で学んだ内容
  • 論文

からの情報収集だけでなく、インターネット上の情報を取捨選択して収集することで正しい情報を得ていくことが必要だと考えました。

まずは医師である自分が正しい情報を得ることで、来院した患者さんからの質問に正しく答えることができます。

 

  • 医師として情報収集方法を伝える

また、来院した患者さんに対して医師として情報収集方法をおすすめしていくことも大切です。

多くの人が不安な気持ちから、インターネットで情報を得ようとしています。

しかし、インターネットには不正確な情報も少なくありません。

そのため、患者さんにはインターネットには不正確な情報も掲載されていることを理解していただくことが大切です。

そこで、

  • 新聞やテレビ・ラジオなどでの医師の情報提供などを参考にして欲しいことを伝える
  • 信頼できるインターネットサイトを紹介する

などが、医師にできることだと考えます。

 

  • 年代別の情報拡散方法

さらに、院長として自らのクリニックに来院していない方達にも正しい情報を伝えていく必要があります。

この時考えるべきは、情報発信手段です。年代によって、情報収集手段は異なるからです。

年代 内容
10代 インターネットは使いますが、インターネット上でニュースを見ることはありません。
彼らはインターネットでTwitterやInstagram、YouTubeなどをよく目にしていることが予想されます。
そこで、医師である私たちがモデルさんや芸能人といった著名人に働きかけ、正しい情報を拡散してもらうことが最も効果的なのではないかと考えました。
20〜30代 20代・30代も情報を得る手段としてのインターネットの利用率が非常に高い年代です。
そのため、インターネットを活用して正しい情報を拡散していくことが欠かせません。
40代以上 一方で、40代以上になるとインターネットよりも紙媒体を使って情報収集していることが多くなります。
そこで活用するべきは新聞です。

また、どの年代にも共通しているのが、テレビを通じて情報を得ているということです。

こういった各年代になじみ深いツールを活用して、

  • コロナ専門家融資の会Twitter
  • メディカルノート

といった信頼できるサイトについて広めていくことが大切だと考えます。

 

Bさんの発表

私は主にフェイクニュース対策について考えました。

 

  • フェイクニュースが広がる原因

そもそもフェイクニュースはなぜ広まるのでしょうか?

新型コロナウイルスに対して人々は不安を感じています。

こういった不安な気持ちから、つい手軽なものを信じてしまい、フェイクニュースが広がっていきます。

また、フェイクニュースが広がるきっかけの一つには、新聞・テレビなどもあるでしょう。

新聞やテレビが大袈裟に報じたり、誤解を招きやすい表現で報じたりしてしまったものが、フェイクニュースとして広がっていきます。

 

  • フェイクニュース対策

ではフェイクニュース対策として取り組むべきことはなんでしょうか?

それは、医療に携わる専門家による大きな組織を設立することです。

例えば以下のような取り組みが挙げられます。

  • 患者さんに「ここのサイトを見ると良い」という指針となるようなwebサイトを作る
  • SNSやYouTube、テレビなどで発信する
  • FIJと連携してフェイクニュースのリアルタイムチェック、的確な修正を行う

そしてそれを普及させるためにしっかり宣伝していくことも必要です。

特に、人々はテレビの情報を信頼しているので、テレビ広告を活用したり、有名人を通じて発信していったりすると良いでしょう。

このように、自らの組織の宣伝をすることで多くの人に存在を知ってもらい、正しい情報を発信することでフェイクニュース対策を進めることができます。

また医師として、不安を抱えながら来院した患者さんには、「医療機関として推奨しています」と打ち出すことで信憑性も上がり、安心して正しい情報を得てもらえるのではないかと思います。

 

  • 他業界との連携

このような対策以外にも、

  • フィルタリング強化
  • 法による規制強化
  • 情報社会に適用した教育の推進

など他の業界との連携した動きが必要になると考えます。

 

井上先生のご講評

どの生徒さんも、一人ひとり着眼点が違う点がとても興味深かったですね!

 

Aさん:情報収集 × マーケティング

Aさんの発表は2つの観点が含まれていましたね。

1つ目は情報収集方法をどうするかという観点です。

まずはエビデンス(証拠)のある情報をどう得るかというところが大切になります。

正しい情報を得るツールとして、論文や官公庁のサイトなどだけでなく、最近では各学会のサイトからも得ることができます。

そしてエビデンスのある正しい情報をどうやって伝えるか、というところも考えなければなりません。

これはマーケティングの考え方ですね。

著名な方に拡散してもらうインフルエンサーマーケティングの要素が盛り込まれていて非常に面白いプレゼンテーションでした。

 

Bさん:メディアリテラシー

Bさんはリテラシーの観点が含まれていましたね。

これからの時代はメディアリテラシーの向上が大切だと言われています。

メデイアリテラシーと言うのは、情報発信側がどのように正しく情報を発信するか、ということです。

人によって受け取り方は違います。

目の前にいない一般の方々はもちろん、患者様も置かれている状況は一人ひとり違いますし、会えるタイミング、言葉の受け取り方などが違います。

そのように一人ひとり違う人々に対して、どうすれば正しい情報を相手に合わせて広めていけるのかは私たちが取り組んでいくべき課題とも言えるでしょう。

 

これからはエビデンスベーストコミュニケーションが大切

皆さんの発表を聞かせていただいて感じたことは、これからの医師には「エビデンスベーストコミュニケーション」が必要である、ということです。

エビデンスベーストコミュニケーションは、EBM(Evidence-based Medicine)をもとにしたコミュニケーションです(今、私が作った造語です)。

EBMについては京都大学の中山健夫先生がわかりやすく説明してくださっていますが、

  • 最善の根拠
  • 臨床家の専門性(熟練、技能など)
  • 患者の希望・価値観
  • (個々の)臨床の状況

を考え合わせる医療のことです。

(参考サイトはこちら:Mindsガイドラインライブラリ「EBMとは?」(京都大学 中山 健夫))

これからの医師は、論文などの最善の根拠を踏まえた上で、目の前の患者さん一人ひとりと密なコミュニケーションを図り、医療に従事していく必要があるのだな、と改めて感じました。

世界的に有名な外科医師の先生もおっしゃっていましたが、正解がないと思って進むことが大切です。

私たちメディカルノートも、まだまだこれからです。頑張っていきたいと思います!

 

 

朝倉先生のご講評

皆さん、お疲れ様でした。

どのプレゼンテーションもよく考えられている素晴らしい発表でした。
みなさん色々な工夫が凝らされていましたね。

大切なことは患者様の心理を考えることです。対象に合わせた届く言葉を考えなければなりません。

また、話を聞いただけでは人はすぐに忘れてしまいます。
だからこそ、どのようにすれば伝えたいことを印象付けることができるのか、という点も重要になります。

さらに患者様が

  • どこから情報収集しているのか
  • どのような情報を得ているのか

を知っておくと、強いコミュニケーション能力につながります。

官公庁などのサイトだけでなく、テレビやSNS、週刊誌でさえ患者様は情報を得るツールとして使っていることがありますから。

患者様が情報を正しく理解するお手伝いができているのかどうか、医師としては非常に大切なのだと思います。

 

金城先生のご講評

みなさんプレゼンテーションありがとうございました!
色々な内容があって、素晴らしかったです。

みなさんが発表してくれた内容は、実践しているものも多くあります。

ただ、どれだけ私たちが一生懸命やっていても、様々な患者様がいらっしゃいます。

病気を抱えて心配されていらっしゃる方もいれば、そうでない方もいらっしゃいます。

患者様は一様ではありません。だから、完璧はありません。

私たち医師が考えるべきことは、「どうしたら不安になってしまっている患者様を安心させてあげられるか?」ということです。

私たちはいつも、「患者様が一番幸せになるためにはどうすればいいのか?」から考えて行動しています。

そのための方法はいろいろありますが、芯は情熱を持ってやっていくことです。

情熱がなければ、どれだけ正しい情報があっても患者様には伝わりません。

これから医師を目指すみなさんには、どうかその情熱を忘れないでいて欲しいと思います。

 

医学部受験で大切なのは学力だけではない!医師としての自分を想像しよう

今回は、初のオンライン企画となるRTMの開催レポートをお届けしました。

医師になるためには避けて通れない医学部受験ですが、その中で大切なのは「医師としての自分を想像すること」です。

医学部受験のゴールは「医学部合格」ではありません。
医学部に合格し、医師として患者様と向き合うことがゴールです。

医学部受験は長く苦しい戦いになるからこそ、つい本当の目的を忘れてしまいがちです。

だからこそ、現場で患者様と向き合っている医師や医大生との交流は、受験生たちの大きな刺激となるようです。

ぜひこの企画で感じ、学び取ったことを糧に、受験勉強に励んでくださいね!

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